先日は金融関係の会社の方と雑談する機会がありました。
今の話題と言えば、それはもっぱら新しく指名される日銀総裁候補者のサプライズと言われる人事になります。
そう言えば、本日の国会にその植田和男さんを次期日銀総裁に起用する人事案を政府は
提出しました。
思えば10年前の2013年1月に、当時の白川日銀総裁らの意に反し、『物価目標を2%にする』と日銀の政策決定で表明されたのが、最初の公式な号砲でした。
この『物価目標を2%にする』というのは、一般の我々からするとピンとこない一言ではあるものの、金融界のプロの方々は
それが『ガンガンお札を刷れ』、という民主党から政権を奪還したばかりの安倍政権が早速きった核オプションであることを重々承知されていた訳です。
そしてそれを忠実に実行に移す使命をもって指名されたのが、黒田東彦氏であり、この10年、それはそれは空前絶後の円の大増刷が行われてきました。
量的緩和とか低金利という言葉をニュースで聞いても、それが何を意味するのか、一般人にはわかりにくい『金融界』の大人の表現が使われてきました。
その意味するところは、ビジュアルでつかんでいくのが分かりやすいことでしょうか。
この10年で赤字国債を買いも買ったり、300兆円以上、それだけお金を刷りまくったことになります。
赤ちゃんも含めて国民一人当たり250万円の借金増ですが、国民はそれをいずれ払うことになる訳ですが、その時まで借金の『痛み』を感じないので、大騒ぎになっていないのが実情です。
国は将来の徴税権でしか、赤字国債を返済できないので、いつかは国民が払うことになります。
太平洋戦争の戦時国債による膨大な赤字は、敗戦から半年経った昭和21年2月16日の当時の渋沢敬三大蔵大臣のラジオ演説で、その牙を国民に向けることになりました。
預金封鎖、新円切替、そして財産税と結局全てのツケは国民が払うことになった訳です。
政治家の方達は、こんな財政規律のない国債の膨張の結末を知っています。
しかしながら、国民にそれを説いても、大多数の理解を得るのは至難の業で、落選するだけで権力の座から落ちるのが目に見えているので、悪政と知りながら続けているのが実情ではないでしょうか。
結局は私たち一人ひとりが目覚めるしかないのです。
こちらのグラフを見てもわかるように、日本は先進国の中で『低負担、中福祉』になっています。
低負担なら低福祉ですし、中負担んなら中福祉であり、高負担なら高福祉となるのが普通の財政運営です。
低負担にも関わらず、中程度の福祉を受けようとするならば、それは子供達の世代に借金として追い被せている以外の何ものでもないことになります。
新しい日銀総裁と副総裁、評議員の方々には、とてつもない後片付けが待ち構えている訳ですが、この事態の結末を受けるのは我々国民であり、そういう投票行動をしてきたのも我々国民ですから、誰のせいにするわけにもいきません。
人材育成とは、自分で考える楽しさを体得してもらうことです。
私たちの意識を開発していくことで、視野が自然と拡がり、持続可能なこととそうでないことが、明確に自分で峻別出来るようになってきます。
明治維新の逸材を多数輩出した吉田松陰の松下村塾のように、若者の心に火をつけること。
これからの国難とも言えるチャレンジに対し、毅然と立ち向かう人財を一緒に育てていきましょう。